第25号 2004年 夏


表紙の言葉

きらきら光る水の流れ

優しい風を帆に受けて

いざ旅立とう

笹舟『ゆめ急便』

天の河ゆき

笹舟で遊ぶ
  奥会津つれづれ  

 今年の梅雨は雨が少ない。それでも生き物はみんないきいきとして、毎日植物も動物も成長しているのが、今の季節だ。
 青々とした水田から、毎日カエルの大合唱が聞こえてくる。仕事の帰り道辺りは真っ暗でも、カエルの鳴き声がそこらじゅうから聞こえてくるので、ちっともこわくない。どこにいるの?と思いながらも、毎晩耳を澄ましている。
 家の軒先には、毎年ツバメが巣を作って忙しそうに動き回っている。朝夕とチェックしているけれど、なかなかヒナが生まれない。失敗したのかな、と不安に思っていた矢先に、6羽のヒナが騒がしいほどの鳴き声で親の帰りを待っているのが見えた。
 ヒナが育つには植物が生い茂って、虫が増えて、ツバメの親がそれを取って与える、そんな当たり前にも思える自然のサイクルがあるからこそ、ヒナがすくすくと育っていくのだ。
 先月開催した『森と水辺のシンポジウム』でも、ブナ林や水辺林があることで、多様な生物が住むことができ、それをエサにする動物が生きていけるということ、またそれらの林は再生が難しいからこそ、保全することが大切だということを考えさせられた。
 我が家のツバメのヒナももうすぐ巣立っていく。来年もまた新しい生命が生まれることを願いながら、その日を待とう。(治)


 
 
檜枝岐村 〜ひのえまたむら〜
 

 檜枝岐川に沿った国道352号線は、檜枝岐村に入ったとたん、鄙びた温泉郷の風情が漂ってくる。
 通りの大きな桂の木の下には、帽子と前垂れをつけた六地蔵が鎮座している。ここから100メートルほど右方に鎮守神社の幟が見えてくる。狭い参道脇に鎮座する橋場の
ばんばは、子供を水難から守る水神様といわれているが、縁切り、縁結びの象徴として、たくさんのハサミが奉納されてもいる。
 参道の奥に鎮守神社があり、拝殿を仰ぐ形で舞殿が建てられている。江戸時代から農民が伝えてきた歌舞伎は、年に2回この舞殿で奉納され、内外の見物客でにぎわう。

鎮守神祭礼奉納歌舞伎
8月18日(水)午後5時30分開演(入場無料)
檜枝岐歌舞伎の夕べ
9月4日(土)・5日(日)午後6時30分開演(1,000円・村内宿泊者は無料)
檜枝岐村企画観光課 TEL:0241(75)2503

 

←六地蔵
 橋場のばんば→
←檜枝岐歌舞伎
 
 
舘岩村 〜たていわむら〜
 

 舘岩川の下流、塩の原には、御蔵入三十三観音札所のひとつに数えられている泉光寺観音堂がある。二間四方の方形造りの堂には、千手観音が安置されており、会津高原に浄土真宗を布教した寺のゆかりが偲ばれる。
 国道352号線に面した前沢ふるさと公園から舘岩川を越えると、茅葺の水車小屋が見えてくる。ここを起点に季節の花畑を愛でながら木道を進むと、圧倒的な茅葺民家が建ち並ぶ曲屋集落に至る。
 すがやかな水が流れる小川に浸してある野菜が、今も息づいている曲屋の営みを伝えている。

たていわ前沢曲家まつり
10月31日(日)前沢曲家集落
舘岩村役場企画観光課 TEL:0241(78)3330


↑前沢曲屋集落

↑水車小屋
←泉光寺観音堂

 

奥会津の歳時記8 灯篭流し(柳津町)

 旧盆の8月10日。円蔵寺内の菊光堂で、毎年慰霊の祈願祭が行われる。夕闇せまる頃、只見川には数えきれないほどの灯篭が浮かべられ、ゆっくりゆっくり流れて行く。
 川は、あの世とこの世を結ぶところ。
 灯はその道しるべ。
 流灯のゆらめく灯りが、水面をすべりながらあの世からの道を照らす。
 盆は、亡くなった家族がより近くに感じられる時だ。お墓参りに帰郷する家族連れで、奥会津の町や村は、一時華やかなあだ花のように家々が賑わい、道は活気を取り戻す。

撮影:佐久間 庄司

 
 


■ 写真・文:竹島 善一 ■
 
 
     
▲ここで檜枝岐川と舘岩川が合流する。街道は二手に分かれる。大きな萱屋根の家々は大家族を支え、旅人には宿ともなった。(伊南村内川・昭和51年9月)  
▲小さな沢に沿って家並みが続く。その配置に、ある調和を見る。土地の形と力に合わせた住まいの姿には無理がない。
(伊南村小塩・昭和50年11月)

 

・・・・・TOPICS・・・・・森と水辺のシンポジウム開催

 

  平成16年6月13日(日)、只見町季の郷・湯ら里において、森と水辺のシンポジウムを開催しました。
 会場には約150名の参加者が集まり、午前の部は「ブナがなぜ大切か」「水辺林はなぜ必要か」「只見川流域のブナ林と生物多様性」という3つのテーマについて、それぞれの専門家による講演が行われました。
 午後の部は、パネラー6名と京都大学名誉教授河野昭一先生をコーディネーターに迎えて「ブナ林と水辺林から地域社会を考える」というテーマでパネルディスカッションが行われました。
 只見川流域のブナ林の希少価値について、今後どのように保全していくかが大切だということについて、パネラーと会場からも様々な議論が交わされました。
 
 
   
 
    炎天下の農作業は、暑さと汗と虫との闘いだ。
 一服の午睡を破るセミ時雨。
 火照った体に流し込む冷っ汁は、クーラーよりも、寿司よりも、何よりうまいごっつお(ご馳走)だ
2・冷や汁(ひやじる)
 
 
■■■  思い出を一言  ■■■
     
●作り方●


  夏の暑い日には、午前中の田畑仕事の帰りに清水の水を汲んで来て、お昼に冷や汁を作って食べました。昔は冷凍庫なんてなかったから、清水の水が一番冷たかった。生活の智恵で夏バテ防止の食べ物です。そしてまた、午後から農作業に出ました。
 母親も姑さんも作ってくれたので、昔の味を教えたいと思って孫にも食べさせています。

小堀 サイさん(三島町)


 薄く輪切りにしたきゅうり、青シソの葉とネギの青い部分を細かく刻んで、すった黒ごまと味噌を混ぜ、冷たい水を注いで出来上がり。好みで氷を浮かせると涼味が増す。
 ミョウガなど、採り立ての夏野菜を具にすると美味しい。

 

博物館・美術館
       

河井継之助記念館(只見町)

     

 公正と誠実をを基本に長岡藩の改革を進めた幕末の風雲児・河井継之助の遺品やパネルなどが展示されています。河井は越後長岡藩家老で、戊辰戦争を回避させようと西軍と談判、決裂。その戦いで受けた傷のため、この地で亡くなりました。戊辰戦争では奥羽越同盟軍 を総指揮しています。
 記念館の隣には継之助の墓(医王寺)や、製塩を行っていた当時の資料を 展示した山塩資料館もあります。


●開館期間、時間:
  毎年4月中旬〜11月末、
  9時〜17時
●休館日:毎週■曜日
●入館料:
 大人300円 高校生100円 
 団体割引20名〜
●TEL(0241)82-2870

     

 
 ●聞き耳袋● 〜機道(はたみち)〜

機織りは14歳頃からやってたよ。機道っちゅうは、覚えきったってはねぇっていうが、若い頃に覚えたもんは忘れねぇ。覚えきったら目より心で見える。
(山内サトミさん・昭和村)