第21号 2003年 冬



表紙の言葉

 暮れも押し詰まった頃、つと納豆を作る家々では、藁づとにゆでた大豆を仕込み、コタツなどに入れて発酵を待つ。神棚に捧げる納豆の藁づとは、中央を丁寧に編み込んで荘厳する。これを松の内に食すと風邪を引かないといわれてきた。柳津町には納豆寝せの唄が残っている。

〜納豆 納豆 どこさ行く
  糸引き沢さ 糸引きに行く〜

雪と暮らす
  奥会津つれづれ  

 奥会津では、長い冬の前に冬篭りの準備をする。
まずは食料の保存だ。干し柿、たくわん漬けにする大根干しなど、どれも太陽の柔らかい光と、乾燥した風によって、保存の利く食材となる。
 それから家の外の一角に大根ニョウを作る。収穫した野菜が、冬の寒さでしみてしまわないように、一本ずつ積み上げていき、藁でまわりを囲む。そうして冬の間、雪を掘り起こして大根や人参、ごぼうなどを取り出し食卓に並ぶのだ。
 私は大根ニョウを作ったことが一度もない。いつも雪が降る前に父や母が作る。冬によく食べる打ち豆も、夜になると、母が木槌で打っているのを聞いているだけだ。
 高校三年の時、担任からクラス全員に、自分の好きなものを書くように紙が配られた。食べ物でも映画でも、何でもいいから、と。
 私も色々書いた。好きな映画や俳優、歌。その中で「冬の夜」と書いたことを今でも覚えている。
 私は冬の夜がとても好きだ。
 ピンと刺すように張った空気や、降る雪のしんしんという音にならない音。降り止んだ後の家も山も木も、別の生き物のような丸みを持つ。そして家の中からは、暖をとりながらの豆を打つ音が時折聞こえてくる。そんな冬の夜が好きだ。

(治)

金山町活性化センター

  ■営業時間/10:00〜16:00 
■休館日/年末年始のみ
        (12/29〜1/4まで)
大沼郡金山町大字中川字上居平949-1 
0241-55-3334
Fax0241-55-3023
地産地消の草分け 野生種・アザキ大根が主役

 こぶし館は金山町の顔だ。
 地元産の農産物を使った食の提供をコンセプトとして平成4年に開設されて以来、地域活性化センターとして町の人々の暮らしを豊かに繋ぎ合わせ、それにも増して内外との交流拠点として金山町随一の存在感を誇っている。
 金山町の農産物や手づくりの品々などを楽しみにここを訪れるリピーターも多い。

 
金山町の物産を並べたエントランス
 桐、藍染、ザルなどの手づくり品、漬物、アカハラ、山菜など、バラエティにとんだ品々が展示即売されている。町の方々の丹精が伝わってくる。
  民俗資料館
 金山町の昔を伝えることはこぶし館の重要な目的のひとつ。常設展示と年に数回の企画展が、昔と今を繋いでいる。
     
 
五十島家住宅
 18世紀以前に建てられた農家を移築してある。当時の農家暮らしが偲ばれる佇まいだ。



  アザキ大根の花の海
 紫の花が一面の海になる5月の野原。辛味が強く繊維の多い大根は、食糧難の時でさえ食用にはならなかった。作付けの邪魔になるばかりの野生種をソバの薬味として重用したのはこぶし館がはじめて。町の古老も「昔からあったなぁ」と、
その来歴は古い。
     
     
     

奥 支配人
金山のことなら何を尋ねられても答えられるように、観光、史跡、釣り、撮影などのスポットや歴史など、みんなで勉強しています。私たちが確かに手渡せるのは「真心」ですから。

奥会津の歳時記3 冬囲い(南郷村)

  雪の国に欠かせない冬篭りの準備は、雪から家を守るために周囲に巡らす垣づくり。
 冬囲いは、長い冬の押しつぶされるような心を象徴するかのように太陽の光を遮断する。この作業が終わると、いよいよ肝を据えて雪を迎え入れる覚悟も整うのだ。
 やがて地面はどこまでも白く覆い尽くされる。
 白き神々の世界だ。

写真:南郷村鴇巣

 
奥会津の郷土料理

●山椒ゆべし
  金山町に伝わる祝いの菓子。かつて祝言の膳には白いかまぼこと併せて紅白の松を表現して、祝いの気持ちを込めた。今でも、正月には必ず用意して年始客をもてなす習いが残っている。山椒はからだをあたためる効用があり、これを食べると冬の厳しさを健やかに凌ぎ、風邪をひかないといわれてきた。
 薄く切って炭であぶると、かすかにふくらんで焦げ目が香ばしく、山椒のピリッとした香気とともに、熱々をほおばるのが美味しい。

■作り方■

  秋に採った山椒の実を挽き、もち米とうるち米の粉に混ぜて練り、味をつけて蒸し上げる。


●ひっけぇ
 “ひきかえ”が “ひっかえ”になり “ひっけぇ”となった吸い物で、ハレの日の膳の汁物として二番目に登場する。汁だけ飲んで、中身は持ち帰るのが本式。家族へのお土産にもなった。
 アカハラ、厚揚げ、ニンジン、長ネギ、マイタケ…。いずれも椀からはみ出すほどの大胆な大きさで、汁物というよりは煮物に近い。その昔、大きいのは「ごっつぉ」だったからだ。

■作り方■
  アカハラで出汁をとり、やわらかな醤油仕立てとする。ネギは青みを活かすために、別茹でしたものを最後に添える。

 

博物館・美術館

三島町交流センター山びこ

ギャラリーと多目的ホールを併設した施設は、一年を通して各種企画展を行っている。ジャンルを超えた様々な企画展示や、各種コンサート。同施設内「食彩房」では食事体験と複合的に楽しめる。

 

・・・ 「阿部晃司能面展」開催中 ・・・


 ◎12月23日(日)まで
 ◎休館日:毎月曜(月曜が祝祭日の場
      合はその翌日)、年末年始
 ◎観覧料:一般300円

森の学校

10月5日(日)、昭和村と田島町の境にある駒止湿原で森の学校」が開催された。参加者がブナ苗木の採取を行い、荒地となった部分に約500本の植栽を行った。苗木が立派なブナの木になるのは100年近くかかるという。参加した親子連れやグループは、秋晴れの空の下、未来に願いを込めて苗木を植えていた。

カヌーツアー

10月4日(土)と5日(日)の二日間、金山町の沼沢湖で今年最後のカヌーイベントが、首都圏からの参加者を中心に40名ほどで行われた。乗り方を学んだあと、二日目には沼沢湖のツーリングに出かけた。スタッフは今年度の講習会参加者。ツアーの最後はスタッフと参加者で昼食を囲みながら交流を深めていた。