第19号 2003年 盛夏



表紙の言葉

 「団子は仏さまの魂だから、気持ちを丸ぅくして心込めて丸めんだぞ」
盆の墓参りは先祖を迎える大切な行事。手に手に持った捧げものの中心は団子。お迎えする日とお送りする日に必ず作る団子は、仏の魂に心を添わせるかのように丸く、丸く…。

撮影:佐久間庄司

先祖と共に
  奥会津つれづれ  

 七年間地元を離れていた私も、家族が集まるお盆とお正月には帰ってきていた。 お盆は仏様も家に還ってくるとき。その準備のため家々はぐっと忙しくなる。奥会津には目には見えない、けれど大切なものに対する風習は今もしっかりと伝えられている。
 私にとって、家に還ってきた仏様を思うことは、ひな祭りに雛人形に話しかけることと似ている。子供ながらになぜか不思議なほどに確かに、そこに、ある空気感を感じていたものだ。
 私達が目に見えないものを信じなくなったのはいつ頃からだろう。多くの人が目に見えるものだけを信じて過ごす時間に対して、お盆という時間はその奥深さを教えてくれる。
 仏壇に置かれるぼんぼりの柔らかな色。仏様を迎え送るため燃やされる松の炎。それぞれに意味のあることを、何気なく、そして確実に受け継いでいるのは、人間の時代が色んな苦境を越えて今もなお続いていることと同じだと思う。
 奥会津の土地をまだ知らない人にとって、お盆に流れている空気はことさら神秘的に映るだろう。もし、ここに流れる空気に触れていただくことができたなら、変わり行く歳時記の中に私たちが織り込まれているということを実感できるかもしれない。

(治)


南会津郡檜枝岐村字燧ヶ岳1番 電話:090-7064-4184
(冬期連絡:0241-75-2351)

尾瀬と檜枝岐の魅力を集めた自然の中のミュージアム

 尾瀬沼・尾瀬ヶ原・燧ヶ岳・会津駒ヶ岳・奥只見湖への分岐点、R352号線に面したミュージアムは、檜枝岐村営国民宿舎・尾瀬御池ロッジに併設された資料館。ハイキングや登山基地として絶好のロケーションの中で、尾瀬の生い立ちや檜枝岐の歴史を知ることができる。

資料館
 檜枝岐村の歴史や民俗、特産品などが紹介されている。

 

資料館(1F)
 尾瀬の歴史・自然を紹介。尾瀬を俯瞰できる立体模型など、パネルや資料が展示されている。

ミュージアム外観
 尾瀬御池ロッジに繋がる建物は、瀟洒な雰囲気ながら森に溶け込んでいる。入場無料というのがうれしい。

東京から日帰りで尾瀬散策を楽しみました。ロッジの展望風呂で汗を流したところです。

郷土食伝承館 苧麻庵

これから歩いてきます!今夜は尾瀬沼ヒュッテに泊ります。

ギャラリー(3F)
 菅田隆雄&自然讃歌写真倶楽部ジョイント写真展『尾瀬讃歌・自然讃歌』開催中。尾瀬の折々の姿を捉えた写真を、小鳥の声と共に鑑賞したい。10月下旬まで展示。

ミニシアター(3F)
 150インチのハイビジョン画面で、尾瀬の風景や星座を観賞できる。また、バルコニーからバードウォッチングを楽しむことも。

奥会津の歳時記
 

 新盆を迎える家では、御霊がはじめて家に戻って来るときに道に迷わないよう、高い杉の木を切って提灯を下げ、灯りの道しるべとする風習がある。
 8月12日の午後、山から杉を切り出して家族みんなで高灯篭を作る。杉の葉は魂の拠り代。灯りを目指して戻ってきた御霊は、杉の葉に休むといわれている。迎え火を焚く新しいかまどもこの日に作り、白樺の皮や松の木を燃やして、やはり火の道しるべとする。奥会津では今もこの風習が残っており、3年間続けて立てられる。亡くなった人も家族と一緒に過ごす「盆」が始まるのだ。

写真:昭和村の高灯篭


奥会津の観光スポット


 寛政・文化の頃(1789〜1817)、村人が伊勢参りの折りに江戸で観劇した歌舞伎を、見よう見まねで村に伝えたのが始まりといわれている。以来260年の時を刻んで連綿と伝えられてきた農民歌舞伎は、森に囲まれた鎮守神社の舞殿で奉納されてきた。演ずるのは、村民で構成された千葉之家花駒座。時代物歌舞伎が昔のままに残されているのが特徴である。伝統が途絶えることのないようにという座員の思いが、毎年の舞台上演を繋いできた。かつての貧しい暮らしの中で唯一の娯楽だった歌舞伎は、今や全国から人々が集う祭りとなっている。

★これからの上演日
   :8月18日(月)17時30分〜(無料)
   :9月6日(土)18時30分〜(有料)
尾瀬檜枝岐温泉観光協会 電話:0241(75)2432

 

 奥会津の河川は、渓流釣りに適したポイントが数多く散在します。
 イワナ・ヤマメ・アユ・ハヤ…。
 自然のままの姿を残した水辺や瀬。
 これらを守りながら、健やかな姿で泳ぐ魚たちに会いに来てください。

 

奥会津の郷土料理

●ちそっ葉巻き
 ジャガイモをすりおろして味噌と砂糖を混ぜ、つなぎにほんの少々の小麦粉を加える。
 それをシソの葉で巻いて揚げただけのお惣菜だが、これさえあれば食が進むというお年寄りが多い。
 食欲が衰えるこの時期のお年寄りにとって、シソの爽やかな香りと、長年なじんだ味噌の香りは、なによりの活力剤である。
 ジャガイモの澱粉のせいかモチモチとした食感が好まれて、味噌を少なめにしてお茶請けにも喜ばれている。



●カリカリ梅漬け
 叩いて塩漬けした梅を、砂糖とシソに漬けたもの。
 お茶請けや食後の口直しに、この地域で一般的に作られており、甘いのが苦手という人のためにはカリカリ塩梅が用意される。
 いずれも、爽やかな酸味とカリッとした食感が好まれている。
 梅干もこの時期大量に作られるので、土用にはどこの集落でも塩漬けした梅を干す光景が見られる。
 このときの梅を塩抜きして、砂糖とシソに漬けこんだ「梅菓子」も上品なデザートとして供されている。

きざみ南蛮を入れると、ピリッとした辛みがさらに食欲をそそる。

 

木物語

奥之院の七色もみじ(柳津町)

 円福寺奥之院再建の際に(1683)植栽されたと伝えられる堂々たる樹相のオオモミジは、季節の巡りに応えるように,早緑・青緑・濃緑・黄金色・朱・紅と季節を映して来た。めくるめくような鮮やかな色の変化は、篤い信仰を持つ人々の心にも美しい光りを映すかのようだ。樹高12メートル、樹周2、5メートルの大樹は、奥之院の荘重な雰囲気を象徴している。

(福島県緑の文化財指定)

ソバ打ち体験ツアー

 6月25日・26日、南郷村でひめさゆりとそば打ち体験ツアーが実施された。
 参加者は埼玉県から約30人。降り続いていた雨も、公園内に入るとあがり、霧の中でひめさゆりのさわやかなピンクがとても印象的だった。

ラフティング体験

 6月22日・23日の2日間、約30名の参加者と地元ラフティングサークルでラフティング体験を実施した。場所は只見町朝日地区の伊南川。参加者のほとんどがラフティング初体験。驚きと笑いの声が絶えない楽しいひと時となった。