第18号 2003年 初夏


稲に祈る

稲に祈る

 水田は瑞々しい早苗で満たされた。
たとえ機械化されたとはいっても、手植えの作業は依然として残されている。
 御し難い自然の災害と豊かな恵み。その双方を司る自然の力に対して、奥会津の人々は真摯に、敬虔に、祈り、願い、畏怖してきた。その精神はいまも生きている。

撮影:佐久間庄司

稲に祈る
奥会津つれづれ

 ある日のこと、銀行で待ち合わせている隣の二人が「五月はまだか。おらいはこんだの土曜日が五月だっけ。」と話している。家に帰って母に聞くまで、五月が田植えのことだとは分からなかった。
 私がふるさとに戻ってきてから二ヶ月がたとうとしている。汽車を降りたときには軒先に残っていた雪も、今は浅草岳をところどころ覆うように残っているだけ。
 奥会津にも田植えの季節がやってきた。このころになると、田植えの日から逆算して田に水を入れ、苗を準備して道具の整備を始める。この土地にはマニュアルはどこにもない。一人一人が作物の種類・量・天気を考えて、今日も少しずつ暮らしのかたちをつくっていく。
 田植えの日は、まわり近所がお互いに手伝い、そのお礼も兼ねて、さなぶりにはその労をねぎらうというのがここでは一般的だ。
 冬のあいだ、じっとしていた植物や動物たちが春になるといっせいに動き出すように、人もいきいきと動きはじめる。ここに住む人たちもまた自然と同じリズムで生活している。
 奥会津独特のリズムをもう一度、じっくり聞いてみようか。そう思えるのもふるさとが持つ安心感のせいかもしれない。

(治)

からむし織の里 ■からむし工芸博物館   0241-58-1677
■織姫交流館        0241-58-1655
■郷土食伝承館 苧麻庵 0241-58-1455
住所:大沼郡昭和村佐倉
(休館日:毎週木曜・12/28〜1/3)
からむし工芸博物館
村の宝はからむし 村の宝はからむし
昭和村を象徴する文化の拠点

 「からむし」は昭和村の顔と言ってもいい。
 室町以来600年の伝統を継承しているからむし(苧麻)栽培の技術は国の選定保存技術に指定され、高度な技術と稀少性が高く評価されてきた。
 2001年の「からむし織の里」オープンを機に、伝承・保存・交流の新たな動きが活発になっている。
 背後に山々を、眼前にはのどかな田園を従えた静かなたたずまいの中で、手織りや糸づくりも体験できる。7月中旬頃からは、からむし畑の刈り取りや苧引きがはじまり、昭和村の夏の風物詩ともなっている。

 

◎ からむし工芸博物館

 縄文の昔から今にいたるまでの、からむしと共に生きてきた人間の営みや、各地の苧麻織物などが多数展示されている。

◎織姫交流館

 織り、苧引きなどの体験やアケビ、マタタビなどの蔓細工の体験など体験メニューが豊富。工芸品、農産物などの地場産品も展示販売されている。

からむし工芸博物館  
織姫交流館
郡山から来ました。
  郡山から来ました。
旅はいろいろ、こんなにたくさんの製品があって楽しいね。
(郡山市の方)

◎郷土食伝承館 苧麻庵

 昭和村の郷土料理や蕎麦で、地元産の新鮮で懐かしい味が楽しめる。

郷土食伝承館 苧麻庵

郷土食膳
bアカハラの唐揚げ
b煮物
bばんでえ餅
b梅漬け

◎体験メニュー

【からむし短期体験コース】
 ・高機5日間コース・地機6日間コース・苧引き2日間コース・高機2日間コース
【簡易体験コース】
 ・コースター・ 花瓶敷き
【生活工芸体験コース】
 ・アケビつる細工・ヒロロ細工・マタタビ細工・ワラ細工
【押し花体験コース】
 ・しおり、はがき・からむし額・箸袋


からむしフェア

 7月26日(土)・27日(日)
「からむし織の里」をメイン会場に、からむし畑の見学会や各種体験、からむしのファッションショーなどイベント盛りだくさん。
お問合せ:昭和村役場企画課
TEL:0241−57−2116

奥会津の歳時記
 

サナブリ 奥会津は小規模農家がほとんどだが、一家の主食を支える「米」は農家にとって特別の思い入れがある。年間を通して,稲作にまつわるさまざまな習俗が継承されていることからも、自然の営みと寄り添う人間の姿勢が見えてくる。
 田植えは農作業の中でも最も重要な仕事である。これが無事に終った喜びとともに、道具たちの労をねぎらい、神仏に感謝と豊作を祈願する祭りである。

三島町のサナブリの飾り


奥会津の観光スポット


只見湖のブロッケン現象

 ブロッケン現象は大気現象の一つで、日の出や日没時の高山で、前面に霧がたちこめているとき、太陽の光を背に受けて立つと、自分の影が霧に投影され、その周囲に虹の輪が浮かび上がる。ドイツのブロッケン山でしばしば見られたことから、この名がある。
 只見町のように、標高が低いところで確認されるのは国内では極めて珍しい。
 現象が見られる地点は田子倉ダムの下に広がる只見湖と常磐橋までの只見川右岸。
 快晴で条件(川霧が出ていること・直射日光が自分の背後から当たること)がそろえば7〜8月中、早朝6時過ぎから8時頃まで見ることができる。

 

奥会津渓流釣りポイントその1

 奥会津の河川は、渓流釣りに適したポイントが数多く散在します。
 イワナ・ヤマメ・アユ・ハヤ…。
 自然のままの姿を残した水辺や瀬。
 これらを守りながら、健やかな姿で泳ぐ魚たちに会いに来てください。

 

奥会津の郷土料理

粟入り笹巻き 田植えは農作業の一大仕事。家族や親戚、ご近所総出で田に出ます。
 田仕事での一服のお茶や小昼(おやつ)に欠かせないのがこの笹巻き。大量に作っておくものなので、貴重なモチ米をすくなくするために粟を半量ほど混ぜ込みます。
 ふっくらと茹で上がった笹巻きは、風通しの良い場所に保管して、多忙な田仕事の度に持参して小昼にします。
 美しい三角形は品のよいお菓子のよう。
 笹の香りが移って雑穀の甘味が香り立つモチ米と粟。ここに甘いきな粉やじゅうねん(エゴマ)をつけて食すと、いくつでも食べられます。
 笹巻き用の笹は、去年刈り取って保存しておいたもの。乾燥した笹の葉は防腐効果が高く、作って一週間は日保ちします。生の笹の葉は色が鮮やかで美しいのですが、日保ちはしません。笹の葉は、すでに去年から準備しておいたものなのです。
 節句などのハレの日には、モチ米だけの真っ白な笹巻きを作って神棚や仏前に捧げ、その後に家族の楽しい夕餉になります。
 田植えとは切り離せない伝統的な保存食のひとつです。

《作り方》

  • 乾燥保存しておいた笹の葉を茹で戻す。
  • 笹を尖塔形に丸めて、洗ったモチ米と粟を詰め形を整える。
  • 乾燥を戻したスゲ草で縛る。
  • 五個づつまとめて結ぶ。
  • たっぷりの水で一時間ほど茹で、又は蒸す

 

木物語

路傍の大樹

路傍の大樹(檜枝岐村)

 村の中央に鎮座する六地蔵の脇に、空を這うように横に枝を張った檜の老大木がある。中程まで枯れ残った幹から、懸命に枝を伸ばした姿だ。かつては、桂・檜・落葉松と、三本が等間隔に並んでいたというが、落葉松はすでに枯れて今はない。これらの大樹は、承和年間に越後の国からやってきて開村した藤原常衡・大友師門・熊谷勘解由の墓印ともいわれている。千年の時を刻んで路傍に屹立する姿には、武者の風格が漂う。

柳津ウォーク

柳津ウォーク

 国際市民スポーツ連盟・日本市民スポーツ連盟公認のやないづウォークに参加したのは、県内外からおよそ950名。
 7kmと10kmのコースに分かれて、香り立つ若葉の風の中の散策を楽しんだ。
 人気は只見川周辺を歩く10kmコース。ひなびた道に初夏の花々が咲き競う。7kmコースでは小学生たちの姿も目立った。

しらかばツーデーウォーク

しらかばツーデーウォーク

 前々年度も前年度も雨に見舞われたが、今年は二日間ともおだやかな晴天に恵まれた。
 人気のコースは10kmコース。しらかばの林の中や田んぼ道などを散策。
 会津近郊や、福島市、遠くは埼玉県、熊本県などからも参加。
 ゴールの後は、熊汁やそば粉で作った山菜入りすいとんがふるまわれた。 

 

奥会津の歳時記

★ラフティングに乗ってみよう!
《日 時》
 ・6月22日(日)、23日(月)
 ・午前の部 9時 / 午後の部 12時
《申込・問い合わせ》
 ・只見町役場企画課内 事務局目黒
 ・TEL.0241(82)5220
 ※各日程は、先着7名様で締め切らせていただきます。

《日 時》・6月28日(土)・29日(日)
《コース》・20km、10km、5km
《参加費》・一般:1000円
     ・高校生以下:無料
《申込・問い合わせ》
 ・尾瀬街道妖精の里かねやまツーデーウォーク
実行委員会
 ・TEL.0241(54)5222

奥会津の観光地を全国にアピールするため、奥会津をイメージしたキャッチフレーズを募集します。

応募方法
●Eーmailで当協議会事務局へ tdrsk@tadami.gr.jp
●募集締め切り 6月末日
※なお、作品の著作権は当協議会に帰属します。