第17号 2003年 春


春を摘む
春摘み

 固雪を渡って春を見つけるのが、この時期の心躍る楽しみのひとつ。
 キツネやウサギの足跡を辿ると、雪どけ水の流れる沢には、セリやフキノトウのやわらかな緑が雪解水のしぶきを浴びている。
 
カワナズナ
写真はカワナズナ。

春を摘む
奥会津つれづれ

 マレーシア・ボルネオ島サバ州のエコツアーに参加した。
 海洋公園を巡る旅ではマングローブ林をぬけ森を歩き、海洋環境調査センターを見学した。すべて地元ガイドが日本語で説明。「稚魚はマングローブに守られ成長し海に出ていく。」彼らは自然や文化、外国語も積極的に勉強していた。得意分野をもつことが収入に結びつくのだ。旅の終わりに激しいスコールが降った。ガイドのにこやかな表情が、どしゃ降りも楽しみに変える余裕を生んだ。
 翌日はバスで約2時間、辺地の店で買い物を楽しみ、人々の暮らしについて話しながらキナバル山麓に到着した。熱帯雨林に作られた吊り橋は人気のコース。カメラ持参者は150円払う。管理費だ。また公の施設利用料は、裕福な海外観光客とマレーシア国民で差があり、地元の人は気軽に施設を利用していた。
 登山もガイド同伴が義務づけられ山小屋は予約制だ。それが「屎尿」(しにょう)やゴミ、高山植物の乱獲など、過剰登山を抑えている。自然環境の保全と負荷軽減、さらには地域経済の活性化を視野にいれたサバ州の政策は、日本でもできそうなことばかりだった。
 二十一世紀は環境の時代。奥会津でもエコツアーが始まろうとしている。

(潤)

北の玄関口
 只見川の本流、支流でつながる「歳時記の郷」の始まりを象徴するかのように、柳津町からは国道に沿って只見川がゆったりと寄り添ってくる。
 清柳苑は、奥会津9町村の物産を紹介し、自慢の手打ちそば体験で旅人をもてなす交流施設として、多くの観光客の憩いの場となっている。
 4月からは、隣接する「斎藤清美術館」とともに、ひろがりのある「道の駅」へと新たなスタートを切ることとなった。
 只見川べりには、福満虚空蔵尊が鎮座する圓蔵寺が懸崖に建つ。信仰の町の名残をとどめた茶店が続く町並みは、のどかな散策の道。
   


連絡先 河沼郡柳津町大字柳津字下平乙179
    TEL.0241-42-2324(毎週月曜休館 休日の場合はその翌日)


9町村の伝統工芸品を展示・紹介
 ここでは奥会津9町村の伝統工芸品を紹介しながら、各種物産の展示をしている。
 信仰の歴史を物語る微細彫刻の籾殻仏は、柳津町の稀少な工芸技術である。
 また、そば打ち体験が好評で、各地からのリピーターを増やしている。
 

物産コーナー

手のひらに載る微細彫刻

虚空蔵様に月参りに来ました。

そば打ち名人長谷川さん。
40年来変わらぬ信念の技で
体験を指導。

お盆や紅葉の頃は大忙しです。
左:寺内さん 右:船木さん

隣接する斎藤清美術館

作品「地の幸」
奥会津の自然
  いよいよ雪解けの季節を迎えました。白一色の冬景色から、所々で土が顔を出し始めるこの季節には、静かだった奥会津にも、にぎやかな鳴き声が聞こえ始めていることでしょう。今回は春を迎える準備に忙しい鳥たちの話をしましょう。
 

にぎやかな声の主たち

 まだまだ雪は消えてはいないけど、時折り春めいた日もあるなァと感じる頃、気が付くと鳥たちのにぎやかな鳴き声に「あぁ、春も近いな!」と思われる方も多いでしょう。最初に鳴き始める鳥たちの中で、特徴的な鳴き声で鳴くのはカラの仲間たちでしょう。カラ類は年間を通じて奥会津に棲んでいますが、この時期になると、そろそろパートナー探しのために囀りを始めるのです。ヒガラは「ツツピツツピ」と高く棲んだ声で囀り、コガラは「フィーフィーフィー」と柔らかな口笛のような声で囀ります。もう、皆さんの家の周りでも、鳴き始めてはいませんか?

田畑から一斉に飛び立つ鳥の大群

アトリの大群
写真:一斉に飛び立つアトリの大群
写真出典:「日本動物大百科 鳥類タ」
(株式会社 平凡社)

 雪解けが始まり、田畑の所々に土が顔を見せ始める頃、数百、数千羽の鳥の大群が一斉に飛び立つ姿に圧倒されたことはありませんか?この季節に大群をつくってシベリアなどの繁殖地に向かって渡っていくのは「アトリ」という名の鳥たちです。スズメよりもやや大きく太いくちばしをもつこの鳥は、「集まる鳥」「アットリ」から「アトリ」という名がついたといわれています。日本への渡来数は年によってかなり変動がありますが、今年は東京でも各所で相当数の大群が確認されており、アトリの当たり年だという情報もあります。奥会津でも今年は凄い数の大群が見られるかもしれませんよ!

一羽旅の末にたどり着く鳥たち

 雪がほぼ消える頃になると、東南アジアの各地から奥会津の森を子育ての場所にと、一人旅ならぬ一羽旅を続けてやっとたどり着く鳥たちも姿を見せ始めます。数回羽ばたいては滑空するといった飛び方を繰り返しながら、山の端を辿るようにして飛んでいくのは、猛禽類の一種であるサシバやハチクマといった鳥たちです。一年中奥会津に棲んでいるイヌワシやクマタカなどと比べれば小型の猛禽ですから、その分羽ばたきの頻度は高く、羽ばたく速度も早いので見分けることができるでしょう。

奥会津自然再発見プロジェクト担当
潟vレック研究所 松井孝子・稲川 良

橋本貞夫さんと語る
対談

橋本:昭和村に住んでいるお二人に是非聞きたいことがあります。村の伝統工芸であるからむしをどう捉えていますか?
寛之:去年、ふるさと学習でからむしを勉強しました。、昔、ばぁちゃんもやっていましたし、隣の家に織姫さんが来ていたり、からむしには興味がありました。昭和村の伝統工芸だから、これからもっとPRしなくてはと思います。
真美:からむし織のことはよく知りませんが、昭和村は小さいし、からむし織しかめずらしいものがないから大切にして欲しいと思います。織姫さんや彦星さんを募集してるということもつい最近知ったから、もっと大きくPRしてほしいです。
橋本:なぜからむしのことを聞いたかというと、若い人が伝統工芸をどう考え、どうしたいと思っているかを聞きたいんです。若い人に関心がないと何百年も続いてきたものが絶えてしまうんですね。これを守るかどうかは若い人にかかっているんじゃないでしょうか。
真美:小学生たちがからむしのことを知るのは「からむしフェア」しかない。学校の総合学習でもやってほしい。
橋本:生まれたところをどう考えていますか。
真美:昭和村は好きです。山と空と空気が好きです。星空が良く見えます。
寛之:大自然とからむしが好きです。この前「藤八の滝」に行きましたが、水がとてもきれいでした。
橋本:昭和の農業をどう考えていますか?
寛之:からむしとカスミソウが昭和村ブランド。もっと品質を高めてたくさんのところに飾ってもらえるようになれば、更に活性化すると思います。
橋本:どんな人になりたいですか?好きな言葉も聞かせてください。
真美:新しいものと古いものが一緒になって、もっといいものが出来ると言うような事を考えられる人になりたい。幕末の本を読んでいて知った『 』という言葉。まごころとか和らぐという意味です。
寛之:自然を見ていたいので、この辺りを走る電車の運転手になりたいです。
「人生の勝ちはやる気で決まる」!
真美:先生はからむしをどう思っていますか?
橋本:村の人みんなが大切にしてここまで繋いできたものですから、若い人に関心を持ってもらって、代々繋いでほしいと思います。今日は本当にありがとう。受験、頑張ってください。

木物語

駒獄神社の森

駒獄神社の森(伊南村)

 兜作りの大桃の舞台を守るかのような森は、緑の文化財に指定されている。樹令150年から300年のスギやニレ、イチョウの木立が寄添う。穏やかな空気が、まだ深い残雪を従えて凛々と張り詰めていた。芽吹きを待つニレ・イチョウの裸の枝は、繊細な線で空に絵を描き、茅葺の大舞台を優しく包んでいる。
 風の声を聴こう。

奥会津賛歌


 春夏秋冬を通して三島町に通っていますが、自分のふるさとのようで、わずかの時間ができると「帰り」ます。たくさんの友人達に会うと、「帰ってきた」とホッとするのです。慈愛の会というボランティアグループの作る様々な人形たちは、奥会津の方々の協力のお蔭で生まれてきました。

郡山市・大野 静子さん

おたより

 初めてお便り差し上げます。さいたま市役所の情報コーナーで初めて貴誌を入手し、大変 興味深く拝読いたしました。私は昨年秋まで英国で働いていたのですが、海外にいると日本文化の良さを改めて感じます。
 「日本の家屋は狭い」とよく言われますが、それは都市部に関して言えることであり、16号に出ていた前沢曲家集落など、実に素晴らしいと思います。英国生まれの息子には、ぜひ一度、奥会津の雪景色を見せたいと思っております。

埼玉県さいたま市 柴原早苗さん

エコ俳句

柳津町から南郷村へ

  柳津町に到着した初日は観光ボランティアも協力して「斎藤清美術館」「円蔵寺」を見学。宗教、歴史、芸術に知的興味を満たしたあとは、運動公園でスノーシューのトレーニング。夕刻からは餅搗きに挑戦して、地酒と共に餅料理を堪能しました。翌朝は快晴の空を追って南郷村スキー場に移動。スノーシューで固雪を渡る壮快な気分は、この時期にしか味わえない奥会津の醍醐味です。

フォトコンテスト


表彰式の様子
 2月22日(土)夕刻より、三島町交流センター山びこホールにおいて、入賞者の発表と授賞式が行われました。

入賞作品

  • 個人部門グランプリ
     上阪 彰「川霧映える」……東京

  • グループ部門グランプリ
     フォト杉並木「悠久の奥会津」……栃木

  • 個人部門準グランプリ
     市川 正「軒先」……神奈川
     駒形正二「湖輝く」……新潟

  • グループ部門準グランプリ
     フォトクラブイオ「四季寸描」……埼玉
     植村冒険館ネイチャーフォトクラブ
      「山・村」……新潟

★入賞作品約100点は、みしま宿2階ギャラリーで4月25日頃まで展示される予定。是非ご高覧ください。