第16号 2003年 新春


引き継がれる手仕事
からむしの糸づくり (昭和村)

秋から冬にかけて営まれる糸づくり。繊維を細く裂き、一本につないでいく瞑想にも似たその作業は、さまざまな事柄を思い描きながらその手だけがせっせと糸を紡ぎだしていく。ふと我に返ると、苧桶には冬の雪が降り積もるかのように糸となったからむしがいつの間にか増えている。それはまさに、古代からの人間の営みである。
大久保裕美さん
大久保裕美さん

引き継がれる手仕事
奥会津つれづれ

  都会から奥会津に来た私は冬になると「雪は嫌んねぇかい?」と度々聞かれる。ここで生活する人々が最も厳しく厄介に思うのが豪雪なのだ。
 雪の季節、道は氷雪に覆われ、車はスピードを出せない。田畑も雪に覆われて外仕事はできなくなる。吹雪けば買い物もままならず、玄関先の除雪作業も余儀なくされる。
 でも私はこの季節が一年で一番好きだ。冬は室内でのんびり過ごす時間が増える。女たちはご近所で「飴呼ばれ」の茶飲み話に花を咲かせ、男は年始回りや歳の神などの行事で集っては飲む。道を猛スピードで走る車はなく、景色は一面真っ白で美しい。クロカンやカンジキを履くと、森は野生動物の足跡にワクワクするステキな遊び場だ。
 生活ペースをスローダウンし心身を休め、雪のない働く季節への英気を養う。雪の冬は、正に「癒しの季節」だと思う。
 奥会津の先人は豪雪を受容し気候に合った年間の暮らしを生み出してきた。そこには「人間は偉大な自然の手の中に生きている」という、ゆったりした包容力ある心が生きている。

(潤)

前沢曲家集落

 馬と共に雪深い冬を凌ぐ暮らしの知恵が、L字型の曲家を生み出しました。下縁と部屋をつなぐ中門が配置され、独特の中門造りとなっています。上縁・下縁それぞれに囲炉裏が配置され、格式の高い上縁では、結婚式や葬式、寄合いなどが行われました。
 曲家の大きな茅葺の屋根は、切妻、入母屋、寄棟などの異なる形でそれぞれの家の個性を引き出しています。
 かつては集落の人々が「結い」による共同作業で茅の葺き替えをしていましたが、高齢化と共に葺き替えが困難になってきた窮状に鑑み、舘岩村は昭和60年、環境美化条例を制定して曲家集落の保存に乗り出し、曲家資料館を移築公開しています。
曲家

曲屋に住む 小勝さんご夫妻

小勝さんご夫妻

 曲屋には囲炉裏が2つあって、出入り口も2つ3つある。お客さんの前を通んねぇで部屋に行けるように中門があんのや。生まれっとからここに住んでるし、ここが一番いい。夏はひやっとして涼しいし、冬はあったけぇ。藁は涼しくてあったかいんだよ。前には涌き水が流れてて、夏は冷てぇし冬は融雪してくれる。空気と水がうまいなぁ! 都会はいやだな。水も空気もおいしくねぇ。

■したえん(いろり) 炊事、食事、近所の人との対応など日常生活の中心でした。
■うわえん 寄り合いや結婚式、葬式に用いられました。
■ちゅうもん したえんとうわえんをつなぐ位置にあり、以前は大家族なので寝室に使われました。
■へや 開口部が少なく、閉鎖的で、世帯夫婦の寝室や出産にも用いられました。
■座敷 床の間、仏壇があり、格式の高い部屋です。儀式や行事、大切なお客様に用いられました。
■どま 昔は農作業空間であったうえ、便所、うまや、風呂桶がありました。

INFORMATION ●曲屋資料館●
・曲屋まつり(10月末・新蕎麦まつりの翌日)
 湯の花神楽奉納
 ばんでぇ餅・はっとうの無料サービス
 詳細は舘岩村企画観光課にお尋ねください。
 ※11月中旬〜4月末頃までは雪のため閉館
TEL 0241-78-3330

曲家まつり

奥会津の自然
奥会津の自然イメージ
 冬本番を迎え、雪の中にすっぽりと包まれて、奥会津が最も奥会津らしい姿を見せていることでしょう。今回は奥会津の自然博士からお聞きした、雪と山が冬の間につくり出す壮大な景観「アバランチシュート」と、小さな「草棒」のお話をご紹介しましょう。
 

雪崩がつくる山の景観

御神楽岳のアバランチシュート
御神楽岳のアバランチシュート
(写真提供、下川和夫)

 田子倉湖周辺や奥会津の北部地域の山々には、稜線から谷底までU字型に削られ、基盤岩が剥き出しになった地形がよく見られます。この地形は地学用語で「アバランチシュート」とよばれるもので、奥会津は我が国最大の「アバランチシュート」の集中分布地といわれています。この地形は、比較的硬い岩石でできた山の斜面に、雪崩が何度となく繰り返され、その侵食作用によってできる雪崩のすべり台ともいえる地形です。御神楽岳や前毛猛山などに代表される荒々しい山の景観は奥会津の魅力の一つですが、このような景観は毎年この季節に雪の下で少しずつ形づくられているのです。

雪をコロがす小さな草棒

 春が近づき残雪期になると、山の斜面で巨大な雪の塊がブロック状になってずり落ちそうになっているのを見かけることがあるでしょう。残雪の塊がゆっくりと山腹を移動していくことを「グライド」とよびます。谷間を埋めた大量の積雪が「グライド」となってすべり落ちるときには、草や木の枝、土砂などを巻き込んでいき、巨大な雪のブロックはそれらをコロのようにして斜面をゆっくり下っていきます。このときにできる草が巻きついた棒状の小さな塊を金山町の人たちは「草棒」と呼ぶそうです。「草棒」は雪の消えた山の斜面で見つけることができるそうですが、皆さんは知っていますか?

草棒
草木とわずかな土砂が巻きついて
できている草棒
(出典「山楽百花」小荒井実)

 雪が自分で重量物を運ぶコロをつくり出しながら、それにのって斜面をゆっくり下っていくなんて! 自然博士も自然の仕組みの不思議さに感嘆していました。
 山の斜面では、今年も小さな雪の下の力持ちが、コロコロと転がりながら雪の塊をそっと運んでいるのでしょうか? 春が来て、雪が消えたら、草棒を探しに山に出かけてみませんか?

奥会津自然再発見プロジェクト担当
潟vレック研究所 松井孝子

橋本貞夫さんと語る
対談

橋本:お二人ともスポーツも頑張っていますね。勉強と部活を両立させていますか?
勝也:受験生ですが、文武両道を行きたいですから。
千野:運動と勉強は一緒だと思っています。
橋本:健全な身体には健全なる精神が宿ります。別々のものではなく、ひとつなんですね。
 勝也君はカナダへホームステイ、千野さんは介護といういい体験をしていますね。コミュニケーションの難しさを感じたりしませんでしたか?
千野:何から話していいか分からなくて…。
勝也:自分の英語が通用しなくて、全部を伝えられないのが情けなくて、はじめは部屋から出たくなかった。
橋本:コミュニケーションがとれたきっかけは何でしたか?
勝也:ホームステイファーザーが映画が好きで、『ハリーポッター』を見ながら話ができたんです。プライドを捨てて自分をさらけ出してみると、カナダの人はとてもコミュニケーションの取り方がうまいです。自分にバリアーを張っちゃいけない。分かってもらう努力も必要なんだと思いました。
千野:自分を知ってもらって、相手のことも知って仲良くなれました。食器をかたづけるのはおせっかいかなと不安でしたが、「ありがとう」と言われて、こういうことをしてもいいんだとわかりました。
橋本:二人ともいい体験をしたね。人間は一人では生きていけない。理解しあうことが大事です。
勝也:将来は英語関係の仕事に就きたいと思っています。
千野:介護士になりたいけど、そのためには看護の免許を取って、お年よりの緊急な対応も出来るような介護士になりたいです。
橋本:それは素晴らしいことです。どんな事にもへこたれない丈夫な身体と、どんな辛いことにも負けない精神を培ってほしいですね。
 「しあわせ」ということをどう考えますか?
勝也:学校へ行ける。友達がいる。勉強できる喜びがある。これは親がちゃんとしていてくれるからだと思って、幸せです。
千野:学校の友達と一緒に一生懸命何か答えを見つけた時、よかったなぁと思います。
橋本:好きな言葉は何ですか?
勝也:「終始一貫」と「継続は力なり」です。
千野:「しあわせ」っていう言葉が好きです。
勝也:橋本先生から受験生に、言葉をいただけますか。
橋本:自然体で。そうすれば、普段培ってきた力を充分に発揮できます。そして全力を尽くして欲しい。今日は本当にありがとう。

木物語

三島神社の大杉

緑の文化財にも登録されている推定樹齢450年の大杉は、三島神社境内の傾斜地から、天を突くように雪間の青空に聳える。樹勢のある双幹の高木は、1513年の神社建立の頃から共に歴史を刻んできた。常にご幣を纏うご神木である。すぐ近くをJR只見線が走っている。

奥会津賛歌

桐の花芽が例年より多く、開花が楽しみです。
石川町 矢吹 保男さん

おたより

投稿写真

 雪深い会津の地方に今なお続いている正月の行事(鳥追い・サイノ神など)を地元の方々の努力により守っておられる姿に感動いたしました。機会がありましたらまた訪れたく思っております。

奈良県 水野露草さん


  御地の山に3、4年程前よりお邪魔致して居りますが、特にローカルな名山を捜すのが何より楽しみです。そういう意味で奥会津の山々は素晴らしい名山、秀峰の宝庫ではないかと思います。

新潟県 島本洸児さん

フォトコン

第7回の奥会津フォトコンテストは、去る1月7日、東京での厳正な審査会を経て入賞者が決定しました。

■入賞作品の発表と表彰式
 ・日時…2月22日(土) 午後5時より
 ・会場…三島町交流センター山びこ(伝達式)

★同日より「みしま宿」ギャラリーでは入賞作品の展示会も開催されます。この機会に是非ご高覧ください。

エコハイク

スノーシューでの雪の山歩きを予定しています。場所は積雪状況を見て当日までに決定します。

■日時:平成15年3月1日(土)〜3月2日(日)
■宿泊場所:福島県河沼郡柳津町柳津
(柳津温泉)

<奥会津域外在住の方>
 ●集合場所:JR駒込駅南口(バス利用) 午前8時出発
 ●費用:12、000円 
  (交通費・宿泊費・保険代・2日目昼食代含む)〜小学生まで半額〜
 ●申込&問い合わせ先
  さんぽみち総合研究所
  日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト(HAT-J) 担当 沢田
  TEL.03-3828-6872(平日13〜17時)

<奥会津に在住の方>
 ●集合場所:現地集合
 ●費用:無料 (但し、宿泊希望の方は、費用がかかりますので問い合わせて下さい。)
 ●申込&問い合わせ先
  柳津町観光商工課 担当 矢部
  TEL.0241-42-2114